ワールドセクション
魔界と呼ばれる世界
アザーリアルムは別名「魔界」と呼ばれます。「魔力を持つものが暮らす世界」だから魔界、
「悪魔のようなものたちが暮らす世界」だから魔界、と諸説はありますが、誰も名前の由来など
気にしたことはありません。大事なのは、自分達が暮らす世界があるということだけです。
アザーリアルムと私達の世界は、あの世とこの世と例えることができます。
アザーリアルムはあの世、私達の世界はこの世、という具合に、私達の世界の魂は
アザーリアルムに飛んでゆき、そこで生活を送り、人生を送り、そして死んで、また私達の世界に
転生していきます。
これをつかさどっているのが創造の神とも、輪廻の神と呼ばれる名もなき神様です。
彼、もしくは彼女は、あの世とこの世の魂を操り、管理を行っています。
アザーリアルムは私達の世界と同じぐらいの大きさの大陸があります。細かい形は違いますが、
ほとんどは私達の世界と同じ形の世界をしています。
アザーリアルムの住民達
私達の世界の魂がアザーリアルムに辿り着いたらどうなるのか?
その原理は誰にもわかりませんが、一説によれば私達の魂は物質化するといわれます。
つまりは肉体となり、形になるということです。これはどれだけ善行を積んだ人でも、
罪を犯した人でも同じだと言われています。魂は等しく物質として形作られ、
変わりにアザーリアルムにおける魂が込められます。寿命は多少の長短はありますが、大体は100年と
されています。
転生前のことは覚えているのか? それは、個々にもよりますが、何か強い衝動があったり、
生前に持った強い願望を持つと、デジャヴとして思い出すことがあるようです。
アザーリアルムで物体化した魂は綺麗に洗われ、そしてアザーリアルムでの魂が尽きたとき、
まっさらな状態で私達の世界に戻っていきます。
なお、アザーリアルムにも動物達はいますし、幻獣と呼ばれるような者達もいます。
そんな彼らに転生してしまうものもいます。どんな形になるかは、誰にもわからないのです。
ギフトの存在
前世の記憶がより濃く残った者が、稀に超技術による兵器や強力な魔術を
生み出したといわれます。それは前世からの贈り物「ギフト」と呼ばれるものでした。
ギフトは我々の知る世界の技術であったり、はたまたは失われた魔術であったり、
はたまたは我々の知らない、超技術であったりしました。
はっきりした記録は残っていません。ですが、それらの技術は恐ろしさと共に、
アザーリアルムに多大な利益を生み出しました。今現在それらの技術が見つかれば、
莫大な財産となることでしょう。
アザーリアルムの唯一国家
かつてアザーリアルムは一つの国家でまとまっていたと言われます。その国家は皇帝を中心に、
自由な国家として親しまれていました。
その資料は残っていませんが、種族間の小競り合いがある程度で、平和な国家だったと言われます。
またその背景には大量のギフトの存在があったとも言われています。その圧倒的な力も持っていた、とも
言われます。
争いのない、理想国家。そこがここにありました。あったのです。
地殻変動と国家分裂
しかし、突然の大地震と共に、地殻変動が起こりました。国は分裂し、人々も多くが亡くなったと
言われています。平和な国家が一日にして、崩壊してしまいました。それほどの大地震だったのです。
なんとか生き残った人々は、暮らせる大地を探し、そしてそこでそれぞれ国家を作りました。
それぞれの別の国家が生まれたことで、考えの違いや軋轢がうまれて、戦争が起こりました。
多くの人々が戦に巻き込まれ、そして死んでいったと言われます。
そして、多くのギフトが使われ、そしてその強大な力に恐怖し、人々は封印を施していきました。
そんな最中、ある者たちがアザーリアルムの人間を襲いはじめました。
アンリバースの発生
地殻変動の影響か、それとも人々が戦争をし始めてしまったせいなのか。
原因はわからぬまま、魂に穢れを持つ者が現れてしまいました。その者達は輪廻からはずれ、
そして青白いオーラを纏い、強大な力を持つようになりました。
彼らを輪廻から外れた者「アンリバース」と呼びました。
彼らは生ある者を憎み、襲いかかるようになりました。そしてアンリバースに殺されたものは、
その者達もアンリバースになるという、恐ろしい事態に陥ったのです。
このアンリバースの発生により、各国は戦争をしている場合ではなくなり、自国を守るのに精一杯となりました。
アンリバースの姿かたちは様々です。青白いオーラを纏っているという以外は、動物の姿であったり、
醜い魔物の姿であったり、アザーリアルムに暮らす住民と同じ姿をしているものもいます。
また高位のアンリバースは知力を持ち、青白いオーラを一時的に消すこともできます。
また、ただ単純に生ある者を襲うだけではなく、国家を裏から操り、争いを発生させたり、
欲望に働きかけたり、精神的に追い込んだりなどと、悪知恵を働かせます。
また彼らは不思議な力を持っていました。それは空間をゆがめ、迷宮を作り出すことです。
それは洞窟であったり、建物であったり、遺跡であったり。もともとはなんともない場所でも、
危険な場所に塗り替えてしまいます。そしてそう言う場所にはアンリバースが集まる習性があります。
そして、彼らは財宝などを迷宮に隠す習性もあります。
さらに彼らは町や村なども迷宮化させます。迷宮化された土地にいると、
その土地にいる者達の魂にも段々と穢れが発生し、最終的にはアンリバースに成り果てます。
こういった場所は多く見られ、転生できない者達を増やしていきます。
ともかく、彼ら「アンリバース」はアザーリアルムに暮らす者達にとって、恐ろしく、
また戦わなければならない相手でした。
輪廻の神の加護と冒険者達
この状況を輪廻の神は見過ごすわけには行きませんでしたが、彼ないし彼女はアザーリアルムに
直接働きかけることができません。そこで間接的に、というには強引な方法ではありましたが、
アンリバースに対抗できる力を魂に持たせ、そして加護を受けた者達が生まれ始めました。
彼らはその力を使って、アンリバースに対抗することを生業としました。
彼らのことを人々は「冒険者」と呼びました。
もちろん、強大な力を悪さに使う者も出てきたりしましたが、冒険者達は彼らの目的のまま、
アンリバースを倒すことを生きがいとしました。それが名誉のためであったり、財宝目当てであったり。
彼らは清々しいほど自分の欲望に忠実でした。そんな生き方を憂う人々、憧れる人々も現れました。
彼らにアンリバースが倒されると、浄化されて消滅します。また歪まれていた空間も、
彼らが浄化することで元に戻すことができます。
ギルドの誕生
しかし、アンリバースの力も強大です。冒険者といえども、唯一人で対抗できる相手は限られて
います。そこで誕生したのが、ギルドという施設でした。
冒険者といえど、一人でアンリバースに対抗するのは危険です。
彼らは数をなし、そして時には一人では到底立ち向かえないほどの強力な力を持つ個体もいます。
ギルドはそういった冒険者達が活動しやすいように設立された施設です。
彼らは一つの目的のために仲間を集い、「パーティ」を結成します。
そしてそのパーティで困難に立ち向かっていく。ギルドはそういったパーティを組む場所でもあり、
冒険者同士が情報交換する憩いの場であり、さらに仕事を斡旋する場所でもあります。
こう言った施設は、国が分裂した後も、その国ごとに存在しています。
アザーリアルムの国家
アザーリアルムの国家間のやり取りはあまり盛んではありません。元々戦争をしていた国同士が
いがみ合っているのもあるのもありますが、それ以上に街道が整備されておらず、旅が危険なもの
になってしまっているのです。それでも旅をしたり、山奥に暮らすものもいますが、危険な場所で
暮らす者達は少ないでしょう。少なくとも安全な場所に集落を作り、国家や冒険者の庇護を受けて
いるのが現状となっています。
今回紹介するのはアザーリアルムの中央に位置する地方バージアにある4つの国家です。
バージア地方の地勢と気候
バージア地方はアザーリアルムの中央に位置し、ほとんどが内陸部ですが、南東部に
フォーサイダ河が流れ込む海があります。肥沃な大地が多くあり、風も温かく、穀物や果物の
生産も盛んに行われていますが、北に行くに連れて気候は荒れ、寒さを増し、不毛さも増します。
集落などでは木造建築が主流で、都市部では石造り、もしくはレンガ造りの家が立ち上っています。
多くの商売人が冒険者を雇い、安全とは言えない街道をとおり、都市間を行きゆきしています。
当然、人々や冒険者達も飲み食いや睡眠をとらなければなりません。そのため、宿屋や酒場などの
大衆施設や市場なども多く見られます。多くの都市部ではそれらは盛んで、喧騒ながらも平和な生活が
見られます。
逆に都市部から離れれば離れるほど、アンリバースに狙われる可能性が高くなり、
そこらでの生活を余儀なくされている人々は、国からの庇護を受けるか、自衛の手段を見つけるか、
はたまたは難民となり、都市へと流れ込むこともあります。
“バージアの帝国”アルッセム王国
ミーガの女王メーネルス・アルッセムが統治している、バージア地方でもっとも栄えている国です。
バージア地方の中央から少し東側にある首都アルッセムを中心として、北と南、西側に城塞都市を
所持しています。順番に、ベルニア、カルーラ、ファンダです。あわせて人口8万人程度の規模です。
この王国は最初小さな都市を1つ持つ小さな国でしたが、当時一兵卒に過ぎなかった
メーネルス・アルッセムが台頭し、国を治めました。彼女は当時の仲間とともに国力を
あげ、そしてバージア地方を治めようとしました。
残念ながら、アンリバースの存在がそれを阻みましたが、今度は冒険者を募り、その討伐に
力を入れています。おかげで近隣王国からの信頼されていますが、メーネルスは野心深い性格な
ため、いつか吸収されるのではないかと恐れられている面もあります。
現在アルッセム王国を悩ませているのは、庇護を受けられず、村を失った者達、難民達への対応です。
大きな国ゆえに、彼らはこの国を目指してきたため、その数は膨れ上がっています。
彼らは職を探すことが出来ず、何とか難民キャンプを作って生活を送っている、もしくは冒険者になる
ことで生活を送っているようですが、彼らを救うとすれば、アンリバースを倒し、安全な場所を
確保することでしょう。そのためメーネルスは自ら冒険者へ依頼を送っているようです。
また、ギフトの存在にいち早く気づき、その一つを保有しているといわれています。
他のギフトも集め、かつての統一国家を作り出そうとしています。
“大雪の要塞”ベルサイア王国
バージア地方の北に位置する雪国です。1年の半分は雪で覆われているような国で、別地方への
入り口ともなっている国です。雪と山に囲まれていることから、国力は少ないものの、自然の要害に
守られています。また山々にはアンリバースたちが生息していることが多く、それを討伐するための
冒険者ギルドにも力を入れています。
そういった経歴から、ベルサイア王国はバージア地方でも歴史のある国です。ハスルの王、ジュードが
この国を治めています。
グレートスノーマウンテンと呼ばれる山脈には、強力なアンリバースがいて、彼が作り出した
迷宮には途方のない財宝が眠っているという噂ですが、それを確かめにいった者達は誰一人として
帰ってきてはいません。
ルサイア同盟
ルサイア同盟は元々、急激に国力を伸ばしてきたアルッセム王国に対抗するために、小さな国家同士が
手を組み合ったものです。アルッセム王国が侵攻をやめた時点で、現在はその役目を終えていますが、
いつアルッセムが攻めてくるかわからないため、同盟を組んだままです。
しかし、同盟国同士の連携が整わず、ギルドの整備が遅れました。そのため、冒険者を募っている
最中ではあります。そのため、ここにあえて訪れる若い冒険者もいます。
ルサイア同盟はバージア地方の南に位置します。比較的温暖な気候をしています。
“川の王国”フォーサイダ王国
バージア地方の西側に存在する、フォーサイダ河に面した国です。ダクミーガの王、ファロスが
治めている国で、河を跨いだ美しい王都が特徴的です。東には地殻変動で生まれた山脈、ロミオス山脈が
あり、フォーサイダ河はそこから流れてきています。
フォーサイダ王国は比較的歴史の浅い国です。一時はアルッセム王国の勢力下にありましたが、
ファロスの手によって独立し、現在に至ります。
豊かな河と、肥沃な大地があるのが特徴ですが、それを歪めるアンリバースに悩まされています。
そこでファロスは早急にギルドを立て、冒険者を募りました。国王自ら依頼をすることもあるようです。
アンリバースの数も多いせいか、迷宮なども数多く見られる危険な丘「煉獄の丘」と言う場所もあります。